熱中症対策

7月から猛暑続きの日本では、連日のように熱中症関連のニュースを目にする。毎年20人前後で推移していた熱中症による死亡例は、この7月だけで100人近くに達しているというから、今年の日本は異常である。地球温暖化による気候変動を指摘する向きもあるが、根本的な熱中症対策が求められるのではないだろうか。

熱中症が多発する以前に「水中毒」なるものが紹介されていた。毎年2~3月に開催される東京マラソンで「水中毒」で倒れて途中棄権する選手が後を絶たないという。脱水を防ぐことを意識して、十分な水分摂取を心がけていて発症している。これは水だけを大量摂取していると、汗とともに排泄されてしまう血液中の電解質(主にナトリウム)の濃度が急激に低下して意識障害にまで至るものだ。水中毒も熱中症の一種と考えられる。

これまで熱中症対策として、水分の摂取がうたわれてきたが水分だけでは駄目で、意識的に塩分摂取を心がけることが重要であることがやっと周知されるようになってきた。運動時に足がけいれんしてしまったという経験がある人は少なくないと思うが、この多くは血液中の電解質異常が原因であると思われる。少し休んでいると回復することが多いので対策もなく運動を続けていると、そのうち意識を失い、最悪の場合は死亡する。

塩分摂取に関しては、血圧との関係で摂取を控えることばかりが強調されてきた。熱中症で病院に搬送されたり、死亡したりするのは65歳以上の高齢者に多い。高血圧治療のために医師の指示を守り一生懸命塩分を控えた食生活を送っている人も少なくないだろう。日本高血圧学会の指針では、成人における一日の塩分摂取目標は、男性で10g、女性で8gまでとしており、さらに高血圧症の場合は6g未満にするように「一律」に求めている。一般の人に難しい面倒な話にならないように、単純化した
目標でないといけないという議論もあるかもしれないが、少し乱暴ではないかと常々思ってきた。汗をかく、つまり電解質を失いやすい夏場も、反対に排泄される電解質が少ない寒い季節も、どちらも同じ塩分摂取量で良いという話はないだろう。
熱中症で倒れた高齢者の中に、医者から指示された塩分摂取を控えることを、忠実に守っていた人もあるはずだ。

運動時の積極的な塩分摂取はとても大切だ。通常の汗の成分は塩化ナトリウム、つまり塩を0.65%含む。ところが運動時に大量発汗するときは0.9%くらいにその濃度が
上昇する。汗腺でつくられた汗は体外に分泌(排泄)されるまでの導管部分で塩分の再吸収が行われるが、大量に汗をかくときは再吸収が間に合わなくなって、血液中の塩分濃度とほど同じ濃さの塩分を排泄してしまう。特に運動時の塩分摂取が重要であるという理由だ。夏のハイキング中など、2リットル程度の水を飲むことは珍しくないが、単純に考えるとこれで18gもの塩分を失ってしまうことになる。一日の塩分摂取目標のほぼ倍量を失うわけだ。特に夏場の運動時における安全確保のためには、水分摂取と塩分摂取は車の両輪といえるだろう。

最後に、梅干しの効用を・・・
一時は塩分の多さから控えられたこともあった梅干しではあるが日本の伝統食品として極めて優れているものだ。
疲労回復効果
大量に含まれるクエン酸などの有機酸は、疲労物質の乳酸を分解する能力にたけている。
殺菌作用
特にクエン酸の作用により、強力な殺菌作用を発揮する。昔から弁当には梅干しが付き物だったのも、その腐敗を防ぐという知恵からだ。(おにぎりなどには練り込んでしまった方が良い)
塩分
梅干しに含まれる塩分濃度は10~20%。大粒のものであれば可食部分が10gほどある。昔ながらのしょっぱい梅干しを1個食べれば、1~2gの塩分摂取になる計算だ。日中大量発汗しているハイキング時などは、1日5~10個食べても塩分の摂取過剰にはならない。もちろんそのほかの食品からの塩分摂取もあるので、その点を割り引いて考える必要はある。

「朝の梅干しは一日の難逃れ」というそうだ。梅干しは健康食品として扱われるが、特に夏の運動時には積極的に食べたほうが良さそうだ。もちろん「酸っぱい」「しょっぱい」梅干しが良く、最近はやりの食べやすく加工した「調味梅干し」ではそれほどの効果は期待できない。