サルモネラ菌中毒
アメリカで前代未聞の生卵回収騒ぎが起きている。サルモネラ菌に汚染された卵が流通しているとのことで、なんとこれまでに3億8千万個もの卵が回収されているという。
騒ぎのの発端は例年になく多く発生したサルモネラ菌中毒。6~7月にかけて、CDC(米国疾病対策センター)に寄せられたサルモネラ菌が原因であると思われる食中毒件数が例年の約4倍にも上ったという。FDA(食品医薬品局)が調べたとこと、ワイオミング州の養鶏場から出荷された卵が原因であることが判明したが、これを受けて全米の養鶏場が自主回収に走っているため、これほどまでの数の卵が回収されたわけだ。
ちなみに3億8千万個の卵を立てて並べると、約15000kmにもなる。地球3分の1周強にもなる距離だ。
問題となった養鶏場からは8月13日付けで、5月19日以降に出荷された卵の回収を開始しているが、こんなに長い期間に出荷された卵が市場にあることは、日本の感覚からすると信じられないことだ。通常加熱して食べるものだとされる卵は、欧米など多くの国では、賞味期限を2~3カ月としているようだ。
サルモネラ菌中毒は、卵が最も大きな原因食品となっている。
鳥類は卵が出てくるところと、便が排泄されてくる場所とが総排泄口といって一緒になっている。サルモネラ菌はニワトリの消化管内に常在しているため、産卵時に卵表面を汚染してしまいやすい。表面に着いているサルモネラ菌だけであれば問題はそれほど大きくないが、数千個に1個の割合で、卵の内部にサルモネラ菌が侵入しているものがあり、保管状態が悪いと卵の内部で増殖してしまう。
日本の卵の賞味期限は、1個のサルモネラ菌が増殖して食中毒を起こすに足る菌数に増える日数に、安全率をかけて算出した日数であり、諸外国の基準にくらべると極めて厳しい。これは日本人は生卵を食べる民族であるが故だが、それでも日本のサルモネラ菌中毒は少なくはない。ティラミスが流行した時、日本ではサルモネラ中毒が急増しているように、日本の卵であっても100%の安全性が担保されているわけでは決してない。
アメリカが特別であるわけではなく、生卵はサルモネラ中毒の危険性が高い食品であることを覚えておきたい。卵を触ったら手を洗う。これも食品衛生上の常識となる基本動作だ。