海外旅行と健康

クリスマスや年末年始の休暇を利用して、海外旅行を楽しむ予定の人も少なくない。楽しい旅行でも感染症に対する警戒は常に怠ってはいけない。特に熱帯亜熱帯地方には風土病と呼ばれる地域性が高い病気から、マラリアやデング熱など国際的に非常に重要な感染症がまだまだ身近な病気として存在する。無防備な旅行者が感染し持ち帰る例(輸入感染症)も少なくはない。一般的な食中毒のリスクも衛生状態が落ちるところでは極めて大きなものになる。

マラリア
ハマダラ蚊によって媒介される深刻な感染症といえる。WHOなどが必死に撲滅に力を注いでいるが、もしかしたら最後に残る感染症になるのではないかとまで言われるほど対策には困難が伴っている。何種類かあるが熱帯熱マラリアに感染した場合、手遅れになると死亡することが珍しくはない。とにかく蚊に刺されないことが大切。ハマダラ蚊は夕暮れ時から活動が活発になるので、リゾート地でもホテル敷地外に出るときは、蚊に刺されないように注意が必要だ。

デング熱
熱帯地方では風邪程度にしか思われていないほどであり患者数も極めて多い。マラリアほどではないが、時として死亡例も発生するので注意が必要だ。患者数が多いのでマラリアよりも感染リスクが高い。主にヤブ蚊(ヒトスジシマ蚊など)に刺されることで感染するので、昼間でも森などの薄暗い場所は危険。

コレラ
かつては深刻な伝染病だったが、最近では食中毒に近い扱いになってる。激しい下痢を特徴とする感染症で、脱水に注意すれば怖い病気ではない。食べるもの、特に生ものからの感染が主なルート。香港でもタイ料理にある生エビで複数の患者が一時に発生したことがあるほどなので、熱帯地方ではとくに注意しなければいけない。リゾートで刺身を食べることはほとんどないかもしれないが、氷が危険であることは覚えておきたい。ジュースや水割りの氷で感染してしまうことは珍しくはないという。

熱帯亜熱帯地域から帰って、帰国後に発熱などの症状が出た場合は、医師に直前の旅行情報を必ず伝えてほしい。いつからいつまで、どこに行っていたのか。温帯地方の医師は熱帯病の診断に慣れていない。以前、南アフリカで熱帯熱マラリアに感染した日本人女性が香港で診断がつかず、手遅れになって死亡した例がある。
熱帯圏の医師であれば、発熱患者を診たらマラリアかデング熱をまず疑うが、日本や香港などそのような病気がない国や地域の医師は、今の季節、発熱患者をインフルエンザと疑うことがあってもマラリアまで疑うことはない。

ここにあげた病気だけではなく、あらゆる感染症のリスクが熱帯圏では高くなると思っていて間違いはない。せっかくの楽しい旅行で、熱帯病などに感染しないように十分な注意が必要だ。