がん死を避けるため

俳優の児玉清氏が、16日、胃がんで亡くなりました。77歳でした。先月、肝機能障害で入院し検査を受けたところ、進行した胃がんが発見されましたが、すでに肝臓に転移しており、発見から死亡まであまりにも短い時間しかありませんでした。おそらく関係者は唖然としてしまったに違いありません。

肺がん、胃がん、大腸がんは部位別のがん死トップ3を締めています。このうち胃がんと大腸がんは早期に発見することが可能で、「治癒できるがん」とも言えるものであるだけに、これらのがんで亡くなるケースは非常に残念に思います。

胃がんの最大の原因はピロリ菌であると言われます。もちろんピロリ菌に感染していたら必ずがんになるというわけではなく、そのほかに高塩食や飲酒、喫煙、そしてストレスなどの要因が重なってのことですが、内視鏡検査によって早期発見が可能です。その際にピロリ菌が発見されれば、除菌することによって胃がんリスクを大幅に下げることができます。

大腸がんは進行が極めて遅いがんの代表で、やはり内視鏡検査で早期がんの発見が可能です。しかもポリープもない正常な大腸であれば、その検査は5年に一度で良いものです。これで十分早期がんが発見できるのです。

胃がんおよび大腸がんの検査を、仮に全国民が必ず定期的に受診するのであれば、日本のがん死は30%下がるものと期待できます。もちろんそのようなことは不可能ですが、個人レベルであれば、自分自身のがん死リスクを大幅に下げることが可能なわけです。胃や大腸以外では女性の子宮頚がんも早期発見が可能なので、定期的に検査しておく事が大切です。

乳がんや精巣がんは自己検診で発見できる可能性もあり、自分自身で検査する習慣をつけておくべきです。また女性の子宮体がんや男性の前立腺がんは、ちょっとした出血や排尿関連の症状が大きなサインになっていることもあるので、小さな症状を軽視しないできちんと検査を受けることが大切です。  “小さな症状、大きなサイン”

昨今がん死が増え、日本では今や2人にひとりががんで亡くなると言われるようになってきましたが、これは高齢化が進んでいることも大きな理由です。1個のがん細胞は5年から20年もかかって、やっとPET検診でわかる5mmの大きさになります。つまり長生きすればガンが発見される可能性が大きくなるという理屈です。

高齢になってガンが発見されたとしても諦めがつくのかもしれませんが、30歳代から50歳代の若いころにがんになり、たとえ手術が成功したとしても再発を心配しながら生活しなければいけないことは辛いものです。それだけに、たとえがんが発見されても再発の心配をほとんどしなくても良い早期発見を目指すことがたいへん重要になります。偶然がんが早期発見されるケースも少なくはありませんが、日頃から生活習慣を含めてがんにならないようにすることや、がんの早期発見を意識することが大切であことは言うまでもありません。