病原大腸菌O104
ドイツを中心に欧州の広い範囲にに拡大した病原大腸菌O104による食中毒事件の原因は、結局スプラウト(モヤシ)であったようです。ドイツ政府はモヤシ類の摂食を控えることを指導するとともに、他の野菜の安全を宣言しています。
当初、スペインから輸入されたキュウリが原因であることをほのめかしてしまったので、これに対してスペイン政府が抗議するなど、国際問題にまで発展してしまいました。今も欧州諸国では野菜類がまったく売れないなど、農家や生鮮食料品店は風評被害に苦しんでいます。
病原大腸菌とモヤシというと、日本ではO157による食中毒事件を思い出します。学校給食での感染は間違いなかったものの、原因食品に行きあたることができず、厚生労働省は結局根拠に乏しいまま「カイワレ原因説」を発表してしまったのです。怒ったのはカイワレ業者。裁判になり、結局、業者が勝訴。今もって確かな原因食品がわからないままです。
病原大腸菌は牛をはじめやぎ、羊、鹿といった反芻胃を持っている動物にのみ感染しているものです。今回のドイツの件も同じですが、そんな病原菌による食中毒の原因食品として野菜があげられることが不思議です。どこかで野菜を汚染する状況がなければいけません。
病原大腸菌に限った話ではありませんが、食中毒予防の三大原則に「付けない」「増やさない」「殺す」というものがあります。今回の一件では、どこかでモヤシを汚染させてしまった事が考えられ「付けてしまった」、さらに流通の過程で増殖「増えてしまった」、さらには生で食べたので病原菌を「殺すことができなかった」わけです。
細菌性食中毒のシーズンに入り、これから患者数がピークとなります。食中毒の発生は一般家庭で起きることが最も多く、皆が十分注意しなければいけません。最近では牛肉の問題が大きくクローズアップされましたが生のものを食べる場合はこれからの季節は特段の注意が必要です。
欧州での病原大腸菌O104による食中毒事件は、鎮静化してきましたが、これは対岸の火事ではありません。いつアジアで大流行してもおかしくはありません。特別な注意は必要ありませんが、食中毒予防の基本原則は守りたいところです。
ところでドイツを中心に問題になった病原大腸菌O104は通常より毒性が強く、どうやら新種のようです。抗生物質にも耐性があるとのこと。このことを突き止めたのは、シンセンにある中国の遺伝子研究機関(北京ゲノム研究所)。このところ中国では遺伝子研究に力を入れており、シンセンをそのハブとしてそのテクノロジーを集積させるそうです。計画が完了すれば中国のみならずシンセンが世界の遺伝子研究の中心になる可能性もあります。