寄生虫疾患急増

中国南部広西チワン族自治区や広東省ではここ数年淡水魚の刺身が美食としてもてはやされているそうです。もともと魚を生で食べることが中国にあったとは私も知りませんでしたが、最近のブームの影響で肝吸虫症が激増していることを、中国の新華網が伝えています。

日本では鯉こくと称して鯉の刺身を食べることもありますが、一般に淡水魚を生で食べることは避けられています。その認識ゆえ、今では普通に食べられているサーモンの刺身も、回転すしなどでメニューに加えられても当初は見向きもされなかったそうです。

今回ニュースになっている肝吸虫は、鯉やフナ、あゆ等に広く感染しており、淡水産の魚類から感染するもっともポピュラーな寄生虫です。報道では肝硬変にもなる怖い寄生虫のように記載されていますが、実際にはもっとも感染確率が高い肝吸虫である横川吸虫の場合、その性質は穏やかで、感染に気付かないでいる人がほとんどだと思います。

同じ淡水魚でも、雷魚やドジョウに寄生している顎口虫という寄生虫には注意が必要です。ヒトの体内では胃壁や腸壁を破って移動し、最悪、眼球や脳に侵入して重大な障害を起こすことがあります。淡水産の生きものには寄生虫がつきものです。両生類のカエルや蛇も危険です。

ドジョウやカエルを精力剤のように思って飲み込む人も昔は日本にもいたようですが、自殺行為といえましょう。蛇を生でなんか食わないと思われる方もあるでしょうが、生血や胆のうをワインで一気に飲むことは、中国ではそれほど珍しくないようです。余談ですが香港のワンチャイにあった蛇専門店で、キングコブラの胆のうカクテルを2000ドルで出していました。90年代中頃かと記憶していますが世界一値段が高いカクテルだとして香港の英字紙(SCMP)で紹介されていたのを覚えています。当時タダでもいらないと思ったものですが、これは気持ちが悪いからではありません。マンソン裂頭条虫という寄生虫が怖くて、たとえどんなに美味しいといわれても、とても飲む気にはなれないカクテルです。

淡水産の生きものを生で食べるのは絶対に避けてください。これからの季節、上海蟹が出回りますが、これも生では危険です。(ウェステルマン肺吸虫)普通は蒸して食べるので問題にはなりませんが、紹興酒に漬けたものが出されることがあります。しかしお酒では寄生虫は死にません。

最後に海のものでも危険なものがあることをご紹介しましょう。それはアニサキスです。30cm以上のサバには100%寄生しており、酢に漬けても死にません。森重久弥はしめサバでやられました。弊社のお客様でもサバで感染された方があります。このお客様から見せていただいた胃部内視鏡検査の写真にはっきりとアニサキスが写っているのに、医師は無視して潰瘍が腹痛の原因であると診断したそうです。もともと生ものを食べる習慣がなかった香港では、アニサキス感染がなく、その医師は知らなかったのではないかと思います。アニサキスはイカにも高率に感染しています。イカそうめんはイカを細く細く切りますが、これはアニサキスを殺す意味もあるのではないかと、私は思っています。