健康診断の目的

皆さんはなぜ健康診断を受けるのでしょうか? 
もちろん基本的には日本の労働安全衛生法にのっとって受診し、家族もそのベネフィットを受けているわけです。国内とは違って、海外では嫌々・仕方がなく受診しているあるいはさせられているという人はとても少ないように思いますし、健康に対する意識レベルは、一般に海外在住者の方が高いように感じます。ただその目的をしっかりつかんでいる人が多いかというと必ずしもそうではないようです。

健康診断は、病気の発見が第一の目的ではなく、自身の健康状態を理解したうえで、さらなる健康増進を図るべくその基礎資料を得るためのものです。もちろん現在の健康状態が悪い人にとっては、その改善を考えるデータとなるわけです。その目的の上で受診した健診で、たまたま病気が発見できることもありますが、これはプラスアルファーのメリットと考えておきたいものです。

あくまでも私が考える健診の目的ですが、これは将来死ぬまで自分の足で歩けるようにするために、どのように健康の管理を行うかを考えるための基礎資料を得ることです。人の死亡原因はがんまたは循環器系疾患だけで3分の2から4分の3程度にもなります。がん死のトップ3は肺がん、胃がん、そして大腸がんであり、このうち胃がんと大腸がんはそれぞれの検診をきっちりと受けていることで完治可能な状態での早期発見が可能です。また発見が難しい肺がんはタバコを吸わなければそのリスクが大きく下がります。一方で循環器系疾患のリスクですが、特に男性の場合、肥満が大きいことは間違いありません。肥満を避ければ脂質異常や高血糖、高血圧など血管を傷める疾患の罹患の可能性が低下します。つまり心臓血管系疾患や脳血管疾患の罹患リスクを有意に下げることができるのです。

最近、「チャーミーグリーンを目指しましょう」というお話をよくします。チャーミーグリーンは洗剤ですが、そのCMでかなりの高齢かと思われる老夫婦が手をつないで歩いていくほのぼのとした姿が映されているのです。年をとっても手をつないで仲よくしましょうというのではなく、いくつになっても夫婦ともに自分の足で歩くことができる姿が素晴らしいのです。高齢化とともに最近は老老介護が増えています。夫婦どちらが介護を受けても、あるいは反対に介護者になっても不幸です。

いくつまで生きるということを目標になんてことは言いません。とにかく死ぬまで元気にしていたいものです。その結果として元気に長生きできれば本望です。そのためには若いときからきちんと身体のケアをしていかなければいけません。現代のような食生活や運動不足の状態では余計に意識しないといけません。「俺は太く短くいければ良いんだ」と言っている人もありますが、そういった人にかぎって脳梗塞を起こし、それこそ死ぬに死ねずに長期間にわたって介護を受けて生きていくしかない状態に陥る可能性が高くなります。

話が逸れますが、長生きすると「お金」のことも考えていかなければいけなくなります。一昔前までは年金で何の不自由もない老後を思い浮かべていればよかったものが、これからは年金枯渇など急速に深刻な問題になってきそうです。たとえ健康であったとしても、生活に困窮するのであれば、これも困りものですね。これからの社会、自身の健康と将来の資金繰り、両面を考えていかなければならなくなってきたことで、人生そのものが難しくなってきたように感じます。