輸入デング熱
香港衛生署は20歳代の男女2名のデング熱感染事例を公表しています。この二人は4月4日から8日までインドネシアバリ島に一緒に旅行した際に蚊に刺されて感染したものと思われます。
香港では今年に入ってこれらを合わせてすでに18人のデング熱患者が確認されています。数字でみると昨年1年間の患者数が30名であったのに比べると早いペースで患者があらわれていますが、これまでのところ香港内での感染事例はなく、すべて旅行先で感染した輸入例のみです。
香港では日本に比べると旅行機会が多いのではないかと思いますが、それだけに渡航先での感染症には特に注意する意識を持たなければいけません。
デング熱は蚊が媒介する感染症で、死亡率は0.01から0.03%といわれ、熱帯地方では風邪と同等の扱いを受けることもあるようです。年間、世界で1億人以上が発症しているとも推計されていますが、感染しても発症しないことも少なくはなく実際にはその何倍もの感染者がいるのではないかと考えられています。
ウイルスを持った蚊に刺されて4~6日後、39度くらいの発熱で突然発症します。症状はインフルエンザに似ていますが眼の奥や筋肉の痛み、さらに発疹が伴うことが特徴です。発熱は急ですが一旦少し下がり、再び高熱がでるというパターンをとることが多く、約1週間ほどで後遺症もなく回復します。ただし再感染すると、デング出血熱を発症して死亡率が3~6%に跳ね上がるので、この点は十分な注意が必要です。
特に熱帯地方への旅行に際しては、とにかく蚊に刺されないことがとても大切です。デング熱の媒介をする蚊(ネッタイシマカ)は昼間にも盛んに吸血行動を行うので、夜だけ注意していれば良いと言うものでもありません。同じく蚊が媒介する熱帯病で最も注意が必要なマラリア。この病気を媒介するのは同じ蚊でも種類が違うハマダラカと呼ばれる蚊で、こちらは夕方から夜にかけての活動が盛んです。
デング熱やマラリアといった熱帯病の予防には、蚊に刺されないようにすることが基本中の基本です。肌の露出を少なくすること、虫除けスプレーの使用、場合によっては蚊帳の使用が推奨されます。
そして、もうひとつとっても大切なことは、旅行後に急な発熱などがあった場合には、必ず医師にその情報を伝えることです。香港などの非熱帯圏の医師は熱帯病に対して経験が少なくなかなか確定診断に至りません。熱帯熱マラリアが発症しているにも関わらず診断が遅れて死亡した日本人もいます。医師への情報(いつ、どこに渡航したのか)を的確に伝えることは、極めて重要なことであり、時には自分の命を守ることにもなることを覚えておいてください。