健康であるために(1) 『ヒトである前に動物であることを意識しよう』

ヒトのDNAとチンパンジーのそれとは、およそ3%しか違いがないそうです。いくらチンパンジーがヒトに近いといっても、たったこれだけしか違わないことには驚いてしまいます。しかし、チンパンジーに限らず他の多くの哺乳動物と比較しても、ヒトを含めてそれぞれの遺伝情報にはそれほど大きな違いがないことは確かです。つまりヒトには他の哺乳動物に備わっている基本的な性質をすべて持ち合わせているといっても過言ではないのです。

その性質で重要なものは、生存にかかわるもの。野生動物は常に餌にありつけるわけではなく、時には何日も食べることができないこともあるでしょう。それでも歩きまわって餌を探さなければいけません。もちろん餓死する危険に常にさらされている訳ですが、たとえ餌がなくても少しでも長く生きながらえることができるようなシステムが動物の体内には備わっています。脂肪の蓄積です。

脂肪は特に皮下や腹腔内に蓄えられますが、この脂肪にはエネルギー貯蔵としてだけではなく、それなりの役割があることもわかってきました。生体活性物質のアディポサイトカインという物質は主に内臓脂肪から分泌され、血管の炎症を予防したりがんの発生を抑えているとの報告もあります。適度な量の内臓脂肪からはこのような「善玉」アディポサイトカインが分泌されますが、内臓脂肪が多くなりすぎると性質が異なる「悪玉」アディポサイトカインが分泌され、高血圧や脂質異常症、糖尿病といった循環器系疾患のリスクを高める事になります。

野生動物には必要量の脂肪が蓄えられているわけですがヒト、特に先進国の人々場合、摂取カロリーが多すぎることから脂肪が必要以上に蓄えられ、その脂肪が原因となって様々な病気を引き起こしているのです。

内臓脂肪は消費されやすい脂肪で、エネルギーが不足した時に即座に消費されることになるので、野生の世界では過剰に蓄積されることなどまずありえません。野生動物での肥満症など聞いたことがありませんよね。(ペットでは肥満が問題になります)

皮下脂肪は体温を保持したり、衝撃から身体を保護するなどの役割を果たしますが、エネルギーにはなりにくいものです。その働きゆえ簡単に消費されてしまっては困るからです。女性の肥満は皮下脂肪が多くなるタイプですが、皮下脂肪からはアディポサイトカインは分泌されておらず、皮下脂肪型肥満では、肥満に関連した病気にはなりにくいことも確かです。

脂肪の話になりましたが、食事(食餌)をどのように考えるかが大切なことになります。
次回はヒトと野生動物の食生活について考えてみましょう。