健康であるために(2) 『動物の摂食行動を考える』

前回の医療情報では哺乳動物とヒトでは遺伝子レベルではほとんど差がなく、特に生存にかかわる基本的な性質は共通してせていることを、脂肪を例に説明しました。嫌われ者の脂肪にも役割があること、動物に比べて摂取カロリーが多い人は、貯めすぎた脂肪から分泌される悪玉のアディポサイトカインが生活習慣病の原因になることを説明しました。

今回は動物の摂食行動について考えてみましょう。人と同じ哺乳動物を取り上げても、草食、雑食、肉食動物、それぞれにその行動は異なります。「ヒト」はもちろん雑食動物に分類されますが、その食生活は野性動物ではありえない特殊なものです。

さて、豚や熊、サルなどの雑食動物がどのように餌を得ているのか想像してみてください。常に餌を求めて歩き回っています。豚はいつも食べているように見えますが、地面を嗅ぎまわって餌を探しているだけで、常に移動しながら餌さがしをしています。ヒトに一番近いサルは、一部の種類は肉も食べるようなので、食餌の内容がヒトに最も近いと思われますが、やはり日中は餌を探しまわっている訳です。

野性の世界では、例えヒトに最も近い種であるサルでさえ、一日中動きまわってやっと生きながらえることができる餌を確保しています。そこには我々が耳にする規則正しく、またバランスを考えた食生活など存在しません。とにかく動きまわって餌を確保しているだけ。にもかかわらず満腹になるような量の餌には、めったにありつけないことでしょう。このことを我々も少し考えなければいけません。

動物の場合、餌を探し回ること自体が運動になっています。人が運動・運動というのは、食べている量に対してエネルギー消費が少なすぎるからです。その点では一日中歩き回っているような営業マンには運動不足の心配はないとおもわれますが、とにかく摂取カロリーが多すぎるのが人です。

「動かざる者、食うべからず」 これは当然として、その食べる量も腹8分で十分。最近では運動量も少ないので、腹6分でも大丈夫だといわれるようになってきました。これではすぐにお腹が空いてしまう、と思う人が多いのでしょうが、それこそ動物の世界を見習わなければいけません。

粗食を心がけることが大切ではありますが、現在の食生活で、いきなり粗食にしなさいといっても無理。私の個人的な考え方ではありますが、何を食べても構いません。肉でもケーキでも、塩辛いものでも、何を食べようが気にする必要はないとおもいます。ただし、少食にすること。
これだけです。
食べ過ぎ注意。夜、外食でカロリーが多くなりそうだったら昼から調整しましょう。完全絶食は弊害があるようですがお腹が空いてどうしようもない時は、チョコレートをかじって血糖値をあげてやるのも手です。

ヒトがいかに野生動物の食行動に近くなれるか、そこがポイントになると思います。自分も「動物」であることを常に意識しましょう。