春節を前にして

欧米人の中にはすでに数週間もの休暇を取って香港を離れてしまっている人も少なくないと聞きます。もちろん香港に限らず春節にあたる中国などでは同じことかと思いますが、中華圏に住む日本人が本格的に休みに入るのは今週からでしょうか?

この休暇を利用して暖かい熱帯地方のリゾートや観光地で過ごすことを計画している人も多いと思いますが、熱帯地方にはその土地の病気があることを忘れてはいけません。熱帯、亜熱帯圏での滞在で確実にリスクが増すのは食中毒をはじめとする感染症です。水道水を飲むことができないことは常識でしょうが、水割りやジュース類に使われる氷が危険なことまでは、なかなか気が回らないことです。刺身は食べることはないにしてもサラダはどうでしょうか。オーガニック野菜として出されるものもあるでしょうが、農薬を使わないものが絶対に良いとはいえないのです。実際にあった話ですが、レタスにナメクジが混入していたこともあるのです。ナメクジやカタツムリはは広東住血線虫という寄生虫の宿主であり危険です。もちろんサラダなど生ものは一般食中毒のリスクが大きいことも確かです。確実に洗浄されていればもちろん問題はありませんが・・・

タイ料理にある生のエビ。香港では以前に立て続けに発生したコレラ患者の感染源でした。

気をつけるといっても、確実に危険回避するとなると何も食べられなくなってしまいますから、できる限りの注意です。感染しても発症しなければ問題にはならない病気も少なくはありません。(それが普通かもしれません)免疫力を落とさないようにするために、無理のない旅行計画を立てることが基本です。とにかく疲れをためないようにしてください。睡眠時間もしっかり確保することが大切です。

マラリアは蚊がいない乾燥地帯をのぞけば、熱帯から亜熱帯にかけてはどこででも感染の危険があります。蚊に刺されないようにすることが大切です。同じく蚊が伝搬するデング熱予防にもなります。夜間の外出、とくにリゾートホテルの場合であれば、その敷地外に出るときは要注意です。皮膚の露出を少なくすること、虫除けの使用が必要です。ホテルの敷地に蚊がいないといっても油断できません。頻繁に殺虫剤散布をしているから害虫がいないだけなのでそこから一歩出たら別世界だと思ってください。

あまりないかもしれませんが、熱帯地方の淡水の川や湖で泳ぐことは危険です。皮膚からの寄生虫の侵入を許すことになります。海での感染症は稀ですが、有毒生物に注意してください。ヒョウモンダコやイモガイは特に危険です。海で泳ぐ前にどのようなものか検索しておくことは、決して無駄にはなりません。

日本人の場合、1週間くらいまでの旅行日程であることが多いと思いますが、そうなると熱帯病に感染しても症状が出るのは帰ってきてからです。何らかの不調を感じた時は、もちろん医師に相談することが必要ですが、その際に、いつ、どこに、どのくらいの期間滞在していたかを、しっかり伝えてください。香港もそうですが、熱帯病がない国や地域の医師は、初診時から熱帯病を念頭に診察することはまずありません。危険な熱帯熱マラリアであっても、風邪やインフルエンザと診断されてしまうことが普通かもしれません。マラリアの診断がつかずにたらいまわしにあって死亡した例もあるほどです。

医師に情報提供するのは患者の自己責任でもあります。特に熱帯圏で過ごした後に医師の診察を受ける場合は、必ず情報提供してください。