日本脳炎発生
日本脳炎患者が香港の新界、中国との境界に近い大型住宅地Tin Shui Waiにて立て続けに2人確認された。この二人は近い距離に住んでおり、この地区の日本脳炎患者がほかにもいるのではないかと衛生署では見ているものの、大規模な流行にはつながるとは今のところ考えていない。
日本脳炎ウイルス媒介には、夕方から活動が盛んになるコガタアカイエカが関与しており、ウイルスに感染している豚を刺した蚊が、次にヒトを刺すことで感染する。ただし、感染と発症はまったく異なり、感染しても発症するのは0.1~1%であり、ほとんどの感染者は症状がないので感染に気がつくことはない。
感染から発症までの潜伏期間は1~2週間。発症すると頭痛や発熱といった風邪症状に始まるが、症状は重篤で間もなく痙攣や意識障害に陥る。今般入院した二人も意識障害を起こしたことで緊急入院している。死亡率は20%程度であるが、治療は対症療法しかなく、抗ウイルス薬など積極的な治療薬はない。
今回二人の患者が時期を同じくして発生したということは、発症率から推定すると、周囲には数百人の感染者がいるものと考えられる。周辺には複数の養豚場があるため、豚の日本脳炎ウイルスの抗体価を調べ、る必要がある。日本では、豚の感染率から発生予想をしているので患者発生より早く注意が促されることもある。抗体をもつ豚が多ければ、媒介する蚊を駆除する対策を早急にかつ強力に進めなければいけない。
一般には、蚊に刺されないようにすること。媒介蚊が活動を始める特に夕方からの外出時には、蚊に刺されないように肌の露出を少なくすること、虫除けのスプレー等の使用も考えておきたいもの。また花瓶の水の取り換え、鉢植えの受け皿の水を小まめに捨てるなどボウフラの発生につながる元を断つことも大切なポイントだ。香港では政府が日本脳炎の予防接種を推奨しておらず、正式に認可されたワクチンはない。一部の医師が個人のリスクで輸入して接種しているらしいが、今回の事態を受けて慌てて接種することもないだろう。