鳥インフルエンザ
中国では今年5月ごろより鳥インフルエンザの人への感染が散発している。今月は中国で感染したと思われる患者(30歳代女性、80歳代男性)が香港で発症したことで、香港での警戒レベルが高まっている。これまでの感染事例はH7N9型インフルエンザの感染で、今のところヒトからヒトへの感染は確認されていない。それぞれの感染事例に直接的な関連はなく、個別発生の域を超えてはいないと思われる。
さらに香港衛生署が発表したところによると、江西省の73歳の女性が、新たにH10N8型インフルエンザに感染して死亡したという。この型のヒトへの感染が確認されたのは世界初だ。患者はもともと重い心疾患を患っており、11月30日に重症の肺炎で入院し、12月6日に死亡したとされるが、もともと免疫力も低下していたとのことなので、この感染はごく限られた事例であり、一般への影響は小さいものと思われる。
ところでインフルエンザウイルスの種類としていつも出てくる型(最近の事例ではH7N9型、H10N8型)とはいったい何なのか? 疑問に思う人も少なくはないと思う。HやNはウイルス表面にあるスパイクの種類であり、この数字が違うと感染できる動物までもが違ってくる。Hは1から16まで、Nは1から9まで、つまりH1N1からH16N9までの型がインフルエンザにあるわけだ。毎年流行を繰り返すのはH3N2型。ヒトにも感染するようになってきた鳥インフルエンザではH5N1の存在も忘れてはいけない。また2009年にメキシコから流行が始まったHN1型インフルエンザはブタが起源となったとされている。
一般的にインフルエンザウイルスは鳥類を仲立ちとして、ブタやヒトの間を行き来する。
鳥はすべてのインフルエンザに感染することができ、しかも渡り鳥に対しては毒性が低く、ウイルスの運び屋ともなるため、感染拡大に極めて重要な役割を果たす。ちょうど今頃、生きたニワトリの需要が最も多くなる冬至を迎えるにもかかわらず、鳥インフルエンザの発生で、その輸入が停止される騒ぎともなる。これにはシベリア方面で夏を過ごした渡り鳥が、暖かい中国南部方面に移動して来ることと関係が深い。かつて西日本で多くの養鶏場が鳥インフルエンザで壊滅的な影響を受けた時も、その2週間ほど前に韓国で同様の事例が起きていたと記憶している。
鳥インフルエンザに関しては、一般市民が騒ぐ問題にはなっていないものの、生きた鳥には
近づかないこと、死んだり弱ったりした野鳥には絶対に触れないことは最低限の常識である。また、飼っている鳥も、野鳥と接触しないようにしなければいけない