ダイエット考(5)

ダイエットについて考えるシリーズの第5弾。最終回。今回は主食を考えてみましょう。低糖質ダイエットで目の敵にされる主食ですが、本当に悪いものでしょうか。私には低糖質ダイエットを唱える人たちは、農耕が始まって何千年もかけて育まれてきた食文化を理解していない浅はかな思考の持ち主ばかりかと思えてなりません。主食はとても重要なものであると考えます。なぜ主食が必要であるか? 日本をはじめアジア各国では米が主食です。またアフリカや南米ではトウモロコシ、さらにヨーロッパに行けば麦でありあるいはジャガイモが主食になります。米などを作付する土地が少ない南太平洋の島嶼国では4種類のイモが主食です。主食は、その地域の気候のもとで効率的に大量に生産できるでんぷん質に富む農作物です。長期貯蔵に向くことも共通の性質です。
 主食となる作物は、でんぷん質に富むため血糖値を上昇させやすいものです。この点を悪いことのように喧伝されていますが、ヒトが生きるためにはエネルギーの直接的な供給源となる主食がなくてはならないわけです。脳の活動に必要となる栄養素はグルコースのみ。空腹を感じるのは、最もグルコースを欲している脳からの「早く食え」という指令なのです。脳機能を働かせるにあたって必要な栄養素は血糖であり、低血糖状態になっている空腹時に血糖値を効率的に上昇させるために、「主食」が必要になるわけです。
 もしごはんを食べることが肥満の原因になるのであれば、戦後、米の消費量がピークを迎えた昭和30年ころは肥満であふれていたはずですが、決してそのような事実はありませんでした。現在の2倍以上の消費量だったのにですよ。今は人口が増えているにも関わらず、米の消費が半減しているので、一人あたりの消費量は更に少ないのではないかと思われます。
 戦後の一時期、日本は食糧難でしたが、米国の進駐軍GHQは日本の学校給食にパンと牛乳を持ち込みました。この政策は米国が日本人の将来の食生活を洋食化させるために、子供たちにその基本となるものの味を覚えさせようとしたわけです。その子供たちが大人になり、その次の世代になる頃には日本に洋食がしっかりと根付いていたというわけです。米国の日本に対する食料政策は麦や乳製品あるいは牛肉などの輸出先を手にするために、数十年先を見据えたものでした。日本人の食生活は戦後の高度成長期に大きくかわり大変豊かになったわけではありますが、その反面、高カロリー化が進み肥満が増え、さらには大腸がんや乳がんなど欧米に多かったがんが日本人にも増えてきました。
 前にも書きましたが、西洋人にとって高カロリー食は必要があってのことでしたが、日本のような温暖な気候に暮らす人々にとって、高カロリー食品は不要です。つまりご飯は太るから良くないと言う前に、脂っこいもの、甘いものなど、かつて日本人が食べていなかったような食品の摂取を極力控える必要があるのです。日本人にとっての基本的な食事。これはご飯を中心に味噌汁と漬物、それにせいぜい干物があるくらいです。そんな食生活に今更戻れるはずはありませが、それが基本であることを頭の隅で意識しても決して損にはなりません。
 食欲の秋とも言います。生物学的にも夏から秋への気温低下と日照時間の減少が、食欲を増すように働くことは確かなようです。闇雲に食欲を満たすのではなく、何を食べるべきかを常に意識した方が良さそうです。