鳥インフルエンザ

 秋が深まると、毎年聞こえてくるのがインフルエンザ情報です。日本では今年も私が思っていた通り10月後半より患者が増え始めました。報道では今年は早いと言っていましたが、10月の最終週ころより患者が現れてくるのは毎年のことで、今年が特別というわけではありません。香港での流行は、日本の流行に遅れること約1ヶ月。つまり日本での流行が伝わると、そろそろ香港でも注意が必要になると思っておくとちょうど良いでしょう。
 
 さて、今回お伝えする情報は、鳥インフルエンザです。最も心配されているのはH5N1型ウイルスであり、これまでに世界で668人の患者が確認され、そのうち393人が死亡しています。最近あまり聞かなくなった感がありますが、現在このウイルスへの感染はアジア全域からエジプトにかけて散発しており、ヒトのインフルエンザに変異することが最も心配されるものです。その他にも鳥インフルエンザは多くの種類があり、最近ではH7N9型が中国を中心にヒトへの感染を起こし、昨年来大きな問題になっています。

 またH5N8型ウイルスは韓国で流行しており、これも寒くなったら日本に入ってくるだろうと思っていた矢先に、島根県のコハクチョウの糞からこのウイルスが見つかりました。今年4月にも熊本でも認められていますが、この時は専門家もまったく予想していなかったようです。見えないところで感染が拡大しているものと思っていて間違いなさそうです。

 さて、なぜ冬になるとインフルエンザが流行するのでしょうか?ヒトのインフルエンザの場合は、気温の低下と空気の乾燥でヒトの免疫力が落ちることと、ウイルスにとって都合が良い環境が重なるからです。一方鳥インフルエンザはどうなのか。私はこれまで韓国での流行情報から日本での流行を何度も予想しましたが、これは北から移動してくる渡り鳥がウイルスの運び屋になっているからです。渡り鳥に対して、鳥インフルエンザは一般的に致死性がありません。

 鳥インフルエンザウイルスは、本来ヒトに対して感染性がないものですが、問題はウイルスが変異して、その性質を変えてしまうことです。ヒトへの感染性もウイルスが変異することによって獲得する能力です。さらに困ったことにヒトの間で大流行を繰り返すH3N2型(A香港型ウイルス)との遺伝子融合の可能性があることです。感染力が強いだけではなく、毒性も非常に強いウイルスが生まれてくる危険性が心配され、現在WHO(世界保健機関)をはじめ、各国の研究機関がその調査研究に注力しています。

 一般の人の感染予防ですが、今のところそれほど神経質になる必要はありません。ただし死んだり、弱ったりした野鳥には近づかないようにしてください。もちろん街市などで生きた鳥にもなるべく近づかないほうが無難でしょう。鳥を飼っているヒトは、その鳥を室外に出さないこと。外に置くと、野鳥から感染させられてしまう危険性があり、もちろんそこから飼い主が感染するという事態になることも予想できることだからです。

 インフルエンザに限りませんが、感染症予防の第一歩は手洗いの励行です。外出から戻ったら、まず石鹸で手を洗うこと。これはこれからの季節、ごく当たり前の基本動作となります。休養(睡眠)、適切な栄養摂取、さらに適度な運動といったことが免疫力を維持することに働きます。