インフルエンザ流行情報

香港でインフルエンザが猛威を振るっています。連日のように死亡者数が報道され、個人的には2003年のSARSの時を彷彿させられてしまうほどです。このまま死亡者数が増えると、流行が続くと思われる3月末までに500~600人もの死亡者数になるとの予想もあります。若干の動揺もあるようですが、実際問題として今季のインフルエンザ流行をどのように捉えれば良いのでしょうか?

 インフルエンザの死亡者数を日本の統計で確認すると、多い年は1万人を超えています。その幅は大きく、年によっては10倍以上もの開きがあるわけですが、日本と香港の人口比をごく大雑把に20倍と考えると、香港での500人の死亡者数は日本では1万人になります。このように考えると今季の香港でのインフルエンザ死亡者数は驚くほどのものではないといえます。もちろん例年に比べると非常に多いということは間違いありませんから、厳重な注意が必要です。

 ところでこの死亡者数は、統計上「超過死亡概念」が含まれるということです。香港での報道では死亡者の多くは65歳以上。それ以上の情報はほとんどありませんが、基礎疾患をかかえている人が多いのではないかと推測されます。つまり、例えば心疾患を抱える人がインフルエンザを発症して心不全を起こして死亡した場合、この死因はどうなるのかということです。この死因をインフルエンザとした場合、超過死亡概念によるインフルエンザによる死亡となるわけです。今季、香港でインフルエンザ死亡としてあげられている数字の多くはこのようなケースが含まれていると考えられます。一節によると、インフルエンザを原疾病とした死亡者数と、超過死亡者数との間には10倍程度の開きがあるそうです。

 したがって、今季のようにインフルエンザが特に流行している場合、持病がない人にとっては、一般的な感染予防を怠らなければ問題は少ないといえますが、一方で心疾患や糖尿病など循環器系疾患を持病としている人、何らかの慢性疾患を抱える人は、特段の注意が必要となります。

 インフルエンザは風邪の親戚のような病気ではありません。症状が呼吸器に集中する普通感冒(風邪)とは異なり、死亡リスクを伴う全身疾患です。普通感冒も流行する今の季節は、医者であっても風邪との鑑別は難しいといいます。それでも39度を超える急激な発熱はインフルエンザを疑い、早い段階で医師に相談するべきです。風邪とは違って重い感染症ですがインフルエンザには特効薬があります。

 今の時期には、インフルエンザに感染しないことは難しいのかも知れません。人口密度が高い香港では尚更のことです。大切なのはたとえ感染しても発症させないこと。休養(睡眠)、適切な栄養摂取、軽い運動といったことで免疫力を低下させないことができます。手洗いの励行は言うまでもありません。また万一インフルエンザを疑う症状が出てきた場合は、即座に休むこと。無理して出社しても感染を拡大させてしまうだけで、かえって迷惑になってしまいかねません。まずは病院、そしてゆっくり休むことです。
なお、発熱に際しては十分な水分摂取を忘れないことです。脱水を起こしやすい小児の場合、特に気をつけてあげたいものです。