飲酒および喫煙と発がん
昨日のニュースで飲酒や喫煙とがんの関係に関して相次いで発表された。秋は学会の季節でもあり、マスコミもこのような話題を取り上げる機会が多くなる。
さて、飲酒と発がんに関しては、パリで開催されている「世界がん会議」において発表されたものであり、飲酒が原因で発生したがん患者は70万人(単純に世界人口の約1%)、関連死も36万6000人に上るという。発がんのリスクは飲酒量と比例しており、飲酒しない人と飲酒する人との間に統計上明らかな相違があるとしている。
最も関連しているがんは乳がんであり、新規診断例においてはアルコール起因と思われるがん患者の4分の1以上を占めていたというから女性にとっては気になるところである。さらに大腸がんは23%あるとし、死亡例においては食道がんと大腸がんとの相関性が強いとしている。
さて、ニュースになっている部分の概略はここまでであるが、少々疑問がある。飲酒が発症リスクを大きくしているという乳がんと大腸がん。この二つはこのところ日本で増え続けているがんと一致する。昨今の食生活の変化で油脂の摂取が増えていること(食生活の欧米化)が原因だとされていたわけであるが、今回の調査報告ではヨーロッパやオーストラリアではより相関関係が強く表れているとされており、食生活との相関はどうなんだろうという疑問が生じる。がんは単独の発がん因子で起きるのではなく、重複したリスクで発症するというのが一般的な考え方だ。例えばピロリ菌。日本人に多い胃がんの最大原因であるが、ピロリ菌だけで発がんリスクが著しく高くなるわけではないそうだ。日本人特有の高塩食が重なることによって、胃がん発症リスクを高めてしまうという日本の大学での研究報告がある。
過度の飲酒は身体に様々な影響を与えることは容易に想像がつくので、健康には良くないことは間違いない。これからの季節は何かと飲酒量が増えるイベントが少なくはない。それに水を差すこともないが、やはり深酒は慎んでおこうと我に言い聞かせるところでもある。
今回の発表も、いたずらに懸念する必要はないと思うが、日頃飲酒量が多い人にとっては、少し控えておこうとするきっかけになるのではないだろうか。
喫煙に関しても、遺伝子の変異が多くなってがんの発症に関連するということが国立がん研究センターや理化学研究所などの国際チームが発表している。喫煙者では肺の組織における遺伝子で特に変異箇所が多く、喫煙は肺がんとの関連が強いということが改めてわかったわけである。タバコ煙には多くの発がん物質が含まれていることに関しては多くの人が知るところであるが、酒に関しても、どのような理由で発がん率を高めるのか、疫学上の数字で示すだけではなくその点についても詳しい報告がほしいものである。