鳥インフルエンザ
青森や新潟といった北日本地方の養鶏場などで高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出され、対象となった養鶏場ではすべてのニワトリの殺処分が行われたほか、周辺地域では鳥の移動が厳しく禁じられた。養鶏農家がすべてのニワトリを失うことは極めて深刻な事態ではあるが、手を打たなければその被害はまたたく間に拡大し、養鶏業者全体に甚大な被害を与えてしまう可能性が高い。現在とられている対象養鶏場のすべてのニワトリを殺処分するという方法は、最も効果的な感染拡大阻止対応として受け入れられている。今回処分されたニワトリは数十万羽にもなり感染の拡大は阻止できたようであるが、これからの季節はさらに感染が拡大する可能性があるので十分な監視が必要となる。
ところで今回認められたウイルスはH5N6というタイプ。11月には韓国でも感染拡大していたほか、中国湖南省では47歳の女性がこのウイルスに感染して死亡している。鹿児島県のつる生息地の水からウイルスが発見されたり、北海道や秋田県でも野鳥に感染が疑われる事例が発生していることから、すでに日本全体に感染を拡大させていることは間違いないだろう。
さて、この鳥インフルエンザであるが、日本の報道ではヒトへの感染に関してはほとんど触れられていないものの、中国では2014年以降、同じH5N6型の鳥インフルエンザに感染した患者が14人発生していおり、うち6人が死亡している。今のところ農村部で鳥を大量に飼育している農家などで、感染した鳥と直接接触したことによって偶発的にヒトに感染してしまった事例が起きているものと思われる。
鳥インフルエンザは本格的な冬を迎える前に北のほうから検出、感染情報が発出されてくる。これは、北国から飛来する渡り鳥がウイルスを運んで来るためであり、中国北部や韓国で検出された場合は直後に日本でも認められることが多い。現在、渡り鳥はさらに南下を続けており中国南部でもウイルスが認められる可能性が大きい。ちなみに高病原性ウイルスと呼ばれるものの、渡り鳥に対してはそれほど毒性が強くはなく、ウイルスは渡り鳥によって広範囲に拡散されることになる。
今月21日は冬至。新鮮なニワトリの需要が一気に高まるが、鳥インフルエンザの感染拡大とちょうど重なり、生きたニワトリの流通がストップしてしまう事態も起きうる。実際、香港に生きたニワトリが全く入らなくなったことがあり、市場が混乱したことも過去にはあったものだ。
ヒトへの直接的な影響は今のところ大きくはないものの、偶発的ともいえるヒトへの感染事例が発生して死亡例が複数あることを考慮すると、今後ヒト‐ヒト感染を起こすようなタイプにウイルスが変異しないかどうかを厳重に監視していかなければいけない。過去にはH5N1型ウイルスが大きな問題になった経緯もあるほか、これまでさまざまなタイプの鳥インフルエンザウイルスが散発的にヒトへの感染を起こしている。まったく新しいヒトインフルエンザウイルスが生まれてくる可能性が高い状態が続いておりスペイン風邪の再来を心配する向きもあるが、昨今の医学の進歩は著しく、鳥インフルエンザ(新型インフルエンザ)に関しても研究は相当進んでいると聞く。時間との戦いかもしれないが、画期的な治療薬やワクチンが完成しないものかと期待したい。
これからの季節は、生きた鳥(市場のニワトリなど)には近づかないこと、弱ったり死んだりした野鳥を見つけても絶対に触れないこと。神経質になる必要はないが、注意するに越したことはない。