ノロウイルス感染
ノロウイルスによる食中毒。最近良く耳にしますが、食中毒では最も発生件数が多く、今では感染症としては非常に身近になったように思います。最近の事例では東京銀座の高級レストラン「ブルガリ東京レストラン銀座 イル・リストランテ」において開催された立食パーティーで、客の138人のうち49人が嘔吐や下痢といった食中毒症状を訴えています。保健所による調査で患者のみならず店の従業員4人からもノロウイルスが認められ、うち2人には下痢などの症状があるとのこと。レストランとしては深刻な事態だと言えます。
この食中毒は冬に多く、流行は11月から翌3月にかけて集中し、時期としてはインフルエンザの流行に重なります。ノロウイルスが厄介な点は、感染経路が食物に限らないという点です。カキなど主に海鮮類からの感染という一般的な食中毒と同じ経路だけではなく、調理者などの手指に付いたノロウイルスが食器などを介して感染する経路(銀座のレストランは従業員が発症していることからこの経路も考えられます)、そして患者の下痢便や嘔吐物から発生したミストを吸いこんで感染するという空気感染様の経路の3通りの感染様式が考えられます。つまり食中毒と一般感染症の両側面をもつという感染症であり、対策も一筋縄では行かないと言えます。
昔は食中毒として重視されておらず、厚生労働省の食中毒統計にも搭載されていませんでした。お腹をこわして病院に行くと、「お腹にくる風邪ですね」と言われた経験が誰もが一度はあるのではないかと思いますが、その多くはノロウイルスが原因である可能性が大きいようです。体に入るウイルス数が数十個でも感染すると言われるほど感染力が非常に強く、しかも感染経路が多岐にわたるため感染を予防することが困難です。感染機会を少なくすることは可能ですし、もちろん免疫力が高ければ、たとえ感染しても発症を免れたり、発症しても軽く済むこともあります。
現在流行しているのは、最近流行したことがないタイプのG2.2型ウイルスです。ノロウイルスの抗体は長期持続しないため、このように久々に表れたウイルスに対しては抗体を持っていない人が多くいるものと思われ、日本では2012年以降最大の流行となっています。
感染予防は、とにかく手洗いの励行です。外出後やトイレ後の手洗いは確実に行ってください。また、家族に感染者が現れた場合、トイレの消毒も感染予防のために重要なポイントとなります。消毒には2%に薄めた漂白剤が有効。また室内で嘔吐してしまった場合、家族はできる限りその場から離れてください。後始末をするのは特定のひとりで、マスクとゴム手袋を必ず着用して作業してください。
ノロウイルス感染症は、インフルエンザとともに、これから3月まで十分に注意しなければいけない感染症です。十分に気を付けてください。