ピロリ菌除菌で胃がんリスク低下
ピロリ菌を除菌すると胃がんにつながる前がん状態を有意に改善することを、厚生労働省の研究班が岡山市で開かれた日本ヘリコバクター学会で報告した。
萎縮性胃炎の場合、除菌せずに改善したのが15%に対して、除菌した場合は62%もの改善率を示すなど、明らかに除菌したグループのほうが経過が良く、その後の胃がんの発症率にも大きく影響することが間違いないことがはっきりしたという。
ピロリ菌(ヘリコバクターピロリ菌)は1986年にオーストラリアの学者が発見したもので、研究の歴史はそれほど長くはない。発見当初はだれも相手にしなかったものだが、90年代には胃潰瘍との関連がはっきりしたほか、その後はがんとの関連について議論されてきた。今回の発表は、ピロリ菌と発がんとの間に明確な因果関係があるものとの有力なリファレンスとなるものだ。
ピロリ菌の除菌に関しては、これまで日本では積極的ではなかった。繰り返す胃潰瘍などがあれば除菌していたが、そのほかは放置することが今も多い。今回の研究では前がん状態を改善するのにピロリ菌の除菌が有効であることを証明したわけだが、前がん状態を生み出す原因がピロリ菌にあるともいえないだろうか。研究班ではそこまで追求していないがピロリ菌を前がん状態の有無に関係なく、感染が確認された時点で除菌することががんの予防になると考えることに無理はないだろう。
ところで、胃がんの前がん状態の有無を調べるには、日本で胃がん検診の主流となっているバリウム検査では、ほとんど無力だ。しかしピロリ菌の感染については呼気法でほぼ正確にわかる。ところが研究班が示したのは「前がん症状の改善にピロリ菌の除菌が有効」であるということ。胃の検査を受ける多くの受診者はバリウム検査で胃の状態が正確にわかると思い込んでいるようであるが、前がん状態といわれるものを正確につかむことは易しくはない。つまり、バリウム検査とピロリ菌検査の両方を受けた受診者が、ピロリ菌が陽性でもバリウム検査で問題がない事で除菌の必要性を認識しない可能性がある。医師にとっても同じことが言えるだろう。
胃がんの原因はピロリ菌だけではないが、香港では除菌をすることに積極的だ。個人的な意見だが、ピロリ菌は発見され次第除菌するほうがメリットが大きいと思われる。