マスクと咳エチケット

 新型肺炎COVID-19 の感染拡大を受けて、香港では街中でマスクを
していない人を探すことが難しいほどです。通常、マスクは咳や
くしゃみなどの呼吸器系疾患の症状がある人が着けることを推奨される
ものであり、普段もそのように案内されています。現在のように競い合う
ようにしてマスクを買い込んでしまい、本当に必要な医療現場などでの
確保が難しくなってしまう現状は、少々考えなければいけない状況かとも
思います。咳などの呼吸器症状がない人は、マスクは必要ないと意見
する人もあります。確かにインフルエンザなど従来の一般的な感染症
であれば正しい意見ではありますが、今般の新型肺炎に関しては、
未知である部分が多い感染症であり、症状の有無でマスクの使用を
判断することは、必ずしも的を得ているものとは思えません。

 COVID-19 は感染後、症状が出る前から周囲への感染力を有していたり、
まったく症状が出ない不顕性感染者からさえもウイルスが排泄されたり
していることが、市中感染が拡大していることからほぼ確実視されて
います。したがって現状は誰がウイルスを持っているのかわからない
状況にあり、自分自身が感染していないと思っていても、実はウイルスを
排出している場合も考えられるのです。このような状況の中で、誰もが
マスクをすることは、感染拡大を阻止する上で非常に有益だと考えられます。
自分が感染したくはないがために常にマスクをすることは、実は自分からの
感染拡大を防ぐことにもなっているのです。咳やくしゃみがなくても、
通常話している時も唾液は飛散します。香港のようにほぼ全員がマスクを
していても、マスクを外す機会となる会食の場や家庭内が感染機会となる
のはこのためです。

 さて、咳エチケットという言葉を耳にしたことがある人は多いと思います。
「呼吸器疾患の症状があるならマスクをしましょう」というのがその基本
ですが、マスクがない場合はハンカチなどを用いて唾液の飛散を阻止する
ことが必要です。接触感染の原因をつくるため、咳やくしゃみを手のひらで
押さえることは禁忌です。

 マスクを過信してはいけません。特にくしゃみの際には、吐き出された
飛沫を含んだ高速の空気はその多くがマスクと顔面の間を擦り抜けてしまう
ので、マスクの役割は極めて限定的になります。この場合、腕の内側を
口にあててくしゃみをします。マスクと袖の生地がダブルで飛沫を防いで
くれます。腕の内側はほかのものに接触してしまう機会が極めて少ないので、
たとえマスクがない時にも極めて効果的な感染症拡大阻止法になります。

 「科学的根拠がまったくない情報」を、新型コロナウイルスに関しての
新しい知見として、先週くらいからSNSで拡散している者がいるようです。
深圳の医師が武漢に就き、現場からの情報として伝えているとしていますが、
「新しい冠状動脈肺炎ウイルス」とか「26~27度で簡単に殺せるウイルス」
などという、少し考えればわかりそうな誤りがあります。
善意の拡散を狙った愉快犯なのかもしれません。 
情報は、しっかりとした出所が明らかなものにアクセスしてください。