新型インフルエンザワクチン

 今月6日付けのアメリカ・ワシントンポストやニューヨークタイムス等の報道によると、フランスのSanofi-Aventis社が製造した新型インフルエンザワクチンの臨床試験で良好な結果が得られたという。
 米国政府はこの結果を受けて、200万人分を緊急備蓄する計画で、現在製造元と交渉に入ったそうだ。

 このワクチンは、最終的な臨床試験を経たわけではなく、現在のところ健康なボランティアに対する接種で安全性とその効果が確認された段階であり、今後、国家承認を得て量産体制に入るまでにはまだ数ヶ月を要するとみられている。

 問題は製造能力だ。インフルエンザワクチンの製造には鶏の有精卵が必要で、錠剤のような医薬品のように化学合成することができない。鶏卵の供給は、そのルートさえ確保できれば問題が無いものの、やはり1社でしか製造できないとなると、世界市場に安定供給することが難しい。

 現在、インフルエンザの特効薬ータミフルの備蓄を各国が進めているがこれもスイスのロッシュ社でしか製造しておらず、必要量を確保できるかどうか非常に難しいという。

 待望の新型インフルエンザワクチン(H5N1)の開発に成功したことは「画期的」なことであるが、日本語媒体のニュースではほとんど扱われていないのではないだろうか。この開発は各国政府機関や多くの製薬会社で行われており、鶏卵を使用しない方法など製造法もさまざまだ。今後、複数の製薬会社が独自に製造を開始する可能性があるので、将来的には完全供給が期待できるものの、もし今年新型インフルエンザの流行が始まったら、パニックは避けられないかもしれない。

 最近の鳥インフルエンザ情報によると、感染鳥はモンゴルからロシアにまで拡大しており、渡り鳥によってさらに感染地域が国を越え、海を越えて広がる恐れがある。
 現在、鳥から人に感染するケースが報告されている段階であるが、ウイルスはその性質を常に変えているため、いつ人のインフルエンザに変化するか時間の問題であるとも言われている。

タミフルやアマンタジンといった特効薬にワクチンが加わり、対策に光明がさしたといえそうだ。今後もウイルスの変化と医薬品(ワクチン)開発の競争がしばらく続きそうであるが、なんとか「対策」が先行して、新型インフルエンザの流行を阻止して欲しいものだ。