鳥インフルエンザ対策国際会議ー予想以上の成果
東アジアから鳥インフルエンザが拡大し、トルコで4人の死者を出したことから緊急に北京に召集された国際会議が18日終了したが、会議では予想を上回る拠出金の約束が各国から得られるなど、大きな成果をおさめた。
世界銀行は鳥インフルエンザの世界的な流行を抑えるために15億ドルの資金が必要であると訴え、その45%の資金をすでにウイルスが根付いてしまったと思われるベトナム、タイ、ラオス、カンボジア、インドネシアに向けるとした。
またWHOは、鳥インフルエンザウイルス(H5N1)によって2003年以降77人の命が東アジアで失われており、その死亡率は50%に達することから、今後人の間で簡単に感染するように変異することを強く懸念している。
鳥インフルエンザがアジアからトルコに拡大したことから、各国の関心と懸念が高まったことが、予想以上の成果を収めた理由であろう。米国は1国としては最大の額である3億3400万ドルを拠出。日本は1億5900万ドルの拠出を表明したほか、EU本部が当初表明していたよりも2000万ドル多い1億2100万ドル、さらにEU加盟25カ国も合計で1億2000万ドルの拠出を約束するなど各国の関心の高まりを示している。
中国政府は18日会議終了直後に、鶏と接触して感染したと思われる35歳の女性の死亡を公表した。これで中国では6人が鳥インフルエンザで死亡したことになるが、この中国からの対策資金拠出額は1000万ドルと極めて少ない。
世界銀行では5億ドルを貸付金として用意する。さらに米国は人用ワクチン製造に今後3年間に数十億ドルを投資すると発表。
アナン国連事務総長は「もはや浪費している時間はない」とのビデオメッセージを会議に寄せている。
拠出額が少ない中国ではあるが、SARSでの対応が国際社会から強く非難されたことから、鳥インフルエンザに関しては情報の透明性を図るとともに、発生に関する情報や分離ウイルスの国際社会との共有を、首相自らが約束した。
スイスのロッシュ社が発展途上国向けに200万人分のタミフルを提供することに同意したことを、WHOが発表している。昨年もロッシュ社は300万人分のタミフルを鳥インフルエンザ発生地向けに提供しており、今年は1億5000万人分を製造するとしている。
鳥インフルエンザの拡大、人への感染、そして最大の懸念である人のインフルエンザへの変異に関して、ますます不安は大きくなってきているが、国際社会が資金を拠出し、情報を共有化するなど対策が一気に進むことが、今回の国際会議をきっかけに期待できるのではないだろうか。
国や地域での取り組みも大切であるが、感染力が強いインフルエンザウイルスが生まれると、一気に世界中に拡散することが強く懸念されることから、今後も各国が常に情報を交換し、世界レベルで対策を進めることが必要だろう。人の新型インフルエンザが生まれた場合、その国や地域の問題として扱うのではなく、国際社会の問題として一気に沈静化させることが唯一新型インフルエンザの世界流行を阻止する手段だと言われている。
今回の国際会議の意義は非常に大きかったと思う。新型インフルエンザの発生がいつかは誰にも予想できないが国際的な対策をさらに強力に進めてほしいものだ。アナン総長が言うように、浪費する時間はない。もちろん資金も無駄にはできない。戦争や紛争などに金をつぎ込んでいる場合ではないだろう。