豆腐と心疾患リスク低下の関係を否定

豆腐にはコレステロールを下げて、心疾患を予防する効果があるとする従来の説(特に大豆製品生産者唱えていた)に対し、米国の心臓病協会などがおこなった大規模な研究の結果、その節を裏付ける十分なエビデンスが得られなかったことを昨日の香港英字紙South China Morning Postが報道している。

そもそも豆腐にコレステロールを下げる作用があるなど誰が言い出したことだろう。米国では健康食品がブームになっており豆腐もそのブームに乗って急速に消費が広がった食品であるが実際にコレステロールを下げるのかどうかについての検証は行われないままであった。そのような状況の中で関連業界では心疾患のリスクが低下するというような摂食効果をうたって大豆製品の消費拡大を目指していた。

健康志向の中でコレステロールが忌み嫌われるが、本当にコレステロールは身体にとって悪いものなのだろうか。もしも悪いものとの認識しかなければ完全な誤解であり、直ちにその認識を変えていただかなくてはいけない。コレステロールは身体の細胞構成の重要な位置を占め、数種類のホルモン合成の原材料とされるなど、身体にとってなくてはならないもののひとつがコレステロールなのだ。そのためコレステロールは全体量の最大8割くらいまでが肝臓で自ら合成しており、食品から摂取されるものは思いのほか少ない。食事から取り込まれるコレステロールが多くなっても、その量にしたがって肝臓での合成が調整されるため血中のコレステロール量が急激に上昇することはない。

善玉とか悪玉とかいう呼び方もあるが、実際コレステロールに良いも悪いもない。悪玉と呼ばれるLDLコレステロールは組織構築のため末梢に運ばれる途中にあるものでたいへん重要なものである。一方善玉コレステロールは末梢で余ったコレステロールを回収して、これから肝臓に戻る途中にあるものだ。したがってHDLコレステロールが多いことは、余ったコレステロールが効率よく回収されていることを意味し、一般的には良い指標として扱われる。

コレステロールに関しては、関係学会で180mg/dlから240mg/dlが最も良い範囲であると認識するなど、その数値の解釈はやや緩くなってきた。ただし循環器系にリスクがまったくない人の場合で、高血圧、高中性脂肪、肥満、高血糖、喫煙といったことに該当する場合は従来と同様厳しく見なければいけない場合もある。ちなみに240mg/dlを上回ると、心臓血管系疾患の罹患リスクが高まり、反対に180mg/dlを下回ると脳血管障害を起こしやすくなると言われている。もちろん統計上の話で、個人にそのまま置き換えることはできない。

また閉経期以降の女性では、ホルモンの関係上どんなに注意しても総コレステロールの上昇は避けることはできない。中高年女性でコレステロールを下げる薬を服用している人が多いが、閉経以降の女性は290mg/dl程度までは問題がないとも言われている。

コレステロールに関する誤解は多い。
健康を維持するのに、コレステロールに注意することもあろうが要は太らないことと、毎日できる限り身体を動かすこと、喫煙者は直ちに禁煙することといったことに留意したい。健康診断の結果でコレステロール値に一喜一憂してもしかたがないことだ。またコレステロールが高いことを気にして、食事内容に神経質になる人もあるが、かえってコレステロールの上昇をまねくこともあり、無駄な努力になることも少なくないだろう。