ノロウイルス感染症流行
一般に冬場に流行するといわれているノロウイルス感染症が、今の季節も香港で流行が続いており、今年確認された患者数は999人に達した。昨年同期に比べると4割の増加だ。
これら患者の多くは老人施設などでの集団感染であるが、もっとも頻繁に起きる食中毒として、その予防には誰もが常に注意しておきたい。
ノロウイルスは1968年に米国オハイオ州ノーウォークでおきた集団食中毒の患者から初めて発見されたため、当初はノーウォークウイルスと呼ばれ現在でも中国名ではその発音に由来する漢字があてられている。現在はさらに分類されているが、一般に日本ではノロウイルスと一括されて呼ばれてることが多いようだ。
ノロウイルス感染は生カキ、ホタテなど貝類からの感染が多い。もともとウイルスは人の便に排泄され、それが海や川に流れ、貝類が摂取してその体内でウイルスを濃縮する。(生物濃縮)
A型肝炎も同じだ。
ウイルスを体内に取り込むと1~2日の潜伏期間をおいて、下痢・嘔吐、腹痛といった典型的な胃腸症状を起こすことになる。かなり激しい症状を起こす場合もあるが、何もしなくても2~3日で回復し、まず死亡することはなく予後は良好だ。
感染経路として患者からの直接的あるいは間接的感染も重要だ。
これは感染性胃腸炎とも呼ばれるもので、老人施設、乳幼児施設、あるいは学校や病院における集団感染事例がたびたび報告される。患者の便や嘔吐物には大量のウイルスが含まれており、わずかなウイルス数でも感染が成立することから、集団生活の場では容易に感染が拡大する。
患者の嘔吐物や下痢便などには細心の注意を払うことが大切で、処理する場合は必ずゴム手袋を着用してほしい。また空気中にウイルスが浮遊することもあるので換気にもを十分配慮すること。子供の嘔吐物などを処理する親などは、たいへん感染しやすいことを意識し、下痢や嘔吐の原因が不明な場合は感染予防に十分な注意を払いたいものだ。
感染しても症状が出ないことも少なくない。グループで一緒に生カキを食べたのに自分だけが「あたって」しまったということもあるが、これは個人の免疫力に大いに関係することだ。体調が優れないときに生ものを食べることは避けたい。予防接種はないので確実な予防法はない。特に貝類を生食するときに感染機会となるので、生カキは食べないほうが無難だ。たとえ日本産のカキでも安心はできない。