生ウニで集団食中毒
衛生署の発表によると香港内の複数の日本食レストランやラーメン屋にて先月末から今月はじめにかけて、同一業者が納品した生ウニが原因で70名以上が食中毒症状を訴えた。
衛生署では原因を、患者が共通して喫食した生ウニが腸炎ビブリオ菌に汚染されていたものと断定した。腸炎ビブリオ菌は海水中に生息し、夏場水温が高くなると活動が盛んになるため、暑い季節の海鮮料理には十分気をつけなくてはいけないものだ。
魚は真水で洗ってから調理するのが常識だ。もちろんこの場合の魚は一匹丸ごとの場合。これは塩水を好む腸炎ビブリオ菌を洗い流すためだ。ウニは殻から取り出して塩水で洗っただけで木箱に並べられて流通する。寿司や刺身として食べられるときにも洗われることはない。流通の過程で厳密に低温が保たれていれば問題は少ないが、ひとたび室温に戻るようなことがあれば、腸炎ビブリオ菌は急激に増殖し、食中毒の原因となる。
ウニは寿司ネタの中で最も食中毒をおこしやすいものとして、その管理は十分に気をつけなければいけない。これは食品衛生における常識だ。また食べるときも、消費者自らその認識を持って、生カキと同じく体調の悪いときは食べるのを避けるという自己管理が必要だ。
香港では10年ほど前までは刺身など生ものを食べることはなかった。中華料理には魚を生で食べるという概念がないので当たり前ではあるが、数年前の日本ブームのころから寿司が好まれるようになってきた。回転すしなどが日本から入ってきたのもその頃で、今では多くの香港人が刺身や寿司を躊躇なく食べている。
生ものを食べる文化がないところで生ものを食べるのは危険だ。どうしても食べたいときは、生ものを扱うことに慣れている日本人が直接調理するレストランを選びたい。調理を香港人に任せていても、常に日本人の調理人が食材管理や調理を監督している店を少なくとも選ぶべきだろう。
今年は冬に多いノロウイルス中毒患者が夏になっても減少していない。食中毒のあたり年なのかもしれない。食中毒事例一件あたりの患者数はレストランでの食事が原因となっている場合が多いが、全体としては家庭内で感染したと思われる患者数のほうがはるかに多い。
これから当分の間、食中毒をおこしやすい高温多湿の季節が続く。食中毒予防には、家庭内でも十分に注意したいものだ。