タミフルに新たな注意表示

インフルエンザの特効薬としてあまりにも有名になったタミフルは近い将来現れるであろう新型インフルエンザに備えて各国がその備蓄を進めている。

ウイルスに効果がある医薬品は極めて限られているが、インフルエンザウイルスに大きな効果を発揮するタミフルは、新型インフルエンザにもその効果が期待されているだけに市場では奪い合いの状態が続いている。

製造ライセンスはスイスの製薬会社ロシュしか持っておらず、その生産能力に限界があることからライセンスを他でも使えるようにする動きもある。ところが原料となる八角(中華料理で使う香料)の供給にも限りがあるため、完全に化学合成できるようにならなければ急な増産にはつながらないだろう。

タミフルは国家備蓄のみではなく企業でも備蓄する動きがあるほか、インターネットで購入するなどして個人でも手元においておこうとする人もいるようだ。もちろんタミフルはインフルエンザに効果的な薬であるには違いないが、その使用に関しては十分な注意が必要で、個人の判断で服用するような医薬品ではないと思われる。

米国FDAでは、昨年11月、日本の幼児12人が副作用で死亡した可能性があることを公表しているが、ほかにも幻覚や異常行動などが認められるということから注意を促している。これらの事例はそのほとんどが日本で起きていることから特殊性を指摘する向きもあるが、FDAでは放置できることではないとして、タミフルの注意書きにこれら副作用情報を記載するよう今月に入ってメーカーに指示した。

タミフルに対してインフルエンザウイルスが耐性を持つことが知られている。新型インフルエンザ治療の切り札としてその効果を持続させなければいけないはずなのに、従来型のインフルエンザに使いたいだけ使っているのが現状だ。このままでは本当に使わなければいけなくなったときに、その効果が低下しているのではないかとの懸念も生じる。

病院で処方されたタミフルをすべて服用せずに次回のためにとっておく人もいる。タミフルを服用すると確かに症状はすぐに緩和されるので、もう治ったものと勝手に判断するようであるが、実はタミフルはウイルスを殺すものではなく増殖したウイルスが細胞の外に出てくるのを阻止する薬だ。症状がなくなっても数日間はウイルスが体内に残るので、症状が良くなっても服用を中止しないことが大切。もちろんこの期間は周囲への感染の危険性も大きい。

抗生物質の使用量は世界的にみても日本と香港は突出しているそうだ。必要なときに、薬の種類をきちんと選んで、必要な量を処方し、さらに患者は正しく服用することが求められるが、いい加減に使ってきたツケが薬剤耐性菌の出現といった結果で医療現場に混乱を招いている。

これから本格的なインフルエンザシーズンに入る。
タミフルを持って安心するのではなく、日頃から感染対策を心がけるとともにもし感染したときは十分身体を休めることが治癒のために大切なポイントとなるということを理解したい。無理して出社していては病期が長引くばかりではなく、周囲への感染を広めるだけだ。会社ではインフルエンザの社員を働かせるのではなく、たとえ本人が出社を望んでも休むよう業務命令してもいいくらいだ。忙しい中、休めるはずがないという意見も多いことは承知している。しかし感染力が強いインフルエンザは瞬く間にオフィス内に広がり、結局生産性を落とす可能性が非常に高いと考えるべきだろう。
やがて来る新型インフルエンザに備える意味でも、社内的なインフルエンザ対策を考えておく必要がある。