ノロウイルス感染急増

ノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎が、今年は例年にも増して猛威をふるっている。報道で日本での流行については既に知っている人も多いだろうが、私自身、香港でもかなり増えているのではないかと感じている。「お腹に来る風邪」とも言われ、重症化することは少ないが、免疫力の落ちた高齢者にとっては命取りとなるので、十分な注意が必要だ。

感染性胃腸炎を起こすウイルスには、ノロウイルスの他にもロタウイルス、エンテロウイルス、アデノウイルスなどが知られているものの、乳幼児は別にしてウイルスによる感染性胃腸炎の主流は何といってもノロウイルスだ。

ノロウイルスは日本では冬場に患者数のピークをつくるが、これは生カキの消費量の増加ときれいに相関する。つまりカキに含まれるノロウイルスがその生食によってヒトに取り込まれ、腸管内で増殖して発症するわけだ。香港では日本ほど季節性はないが、患者の発生は非常に多い。

ノロウイルスで特に注意しなければいけないことは、その感染力だ。ウイルス数個もあれば十分感染してしまうので、食品からだけではなくウイルスを排泄している患者(症状がなくても)から感染してしまうこともある。運が悪ければ一家全員感染ということもある。患者の嘔吐物や下痢便には大量のウイルスが含まれるので、その処理には細心の注意が求められる。また感染者は出来る限り食品を取り扱うべきではない。やむをえない場合は食品に触れる前に慎重に手洗いすることだ。もちろんトイレの後は石鹸で特に指先などを丹念に洗う必要がある。

体調が悪いときにはカキを食べないことは最低限の鉄則だ。日本産だからとか、新鮮だからとか言うことはリスク回避にはまったく意味がない。日本でノロウイルス患者が急増しているということは、それだけ海洋に流れるウイルスが多いことを意味する。下水処理では除くことができないからだ。日本各地のカキ養殖場では無菌処理に時間をかけて、食中毒対策に
追われていると思われるが、低温で活動が鈍っているので排菌効率も悪い。

生カキはしばらく食べないほうがいいかもしれない。飲食店ではメニューに載せないほうが良いだろう。今年に限ったことではないが、日本では、生カキを出さないよう保健所から管内の飲食店へ指導しているところもあるくらいだ。零細な飲食店にはリスクが大きすぎる食品だ。

インフルエンザのピークシーズンとノロウイルスのそれは一致するので、おそらくこれからまだまだ患者が増えるはずだ。今後も感染に十分注意してほしい。