メタボリック症候群と腹囲測定

このところ毎日のように耳にするようになった「メタボリック症候群」という言葉。先日は日本で、「お前、メタボだろ。やばいよ。」という会話が近くの若者から聞こえてきた。もしかしたら今年の流行語大賞になるのではないかと思うほど一般的になってきている。来年4月からは労働安全衛生法で定められる健康診断項目として、40歳以上にその測定を義務付ける方向で話が進んでいるが、その必要性や意味を正しく理解できている人は少ないようだ。そればかりか、対象を40歳以上とした厚生労働省の検討会の報告書にも疑問が残る。

肥満と循環器系疾患のリスクは間違いなく関連していることは、健康診断のデータを見ても明らかだ。全身にに脂肪がついている人よりも、お腹だけがポッコリ出ている人の方が死亡リスクが高いことも間違いない。お腹だけが出てしまうのは中年期以降の男性に多く、女性によく見られるポッチャリ型の肥満とは「悪性度」がまったく違う。そのような背景から腹囲の測定を必須とし、男性の基準を85cm以上、女性の基準を90cm以上と分けたことは意味があることだ。

もちろん単に太っている(腹囲が基準を超えている)というだけではメタボリック症候群とはいわない。腹囲の基準値を超えていることを絶対条件としたうえで血圧、中性脂肪、HDLコレステロール、血糖値のうち2項目以上が重複してその基準を上回っている場合に限ってメタボリック症候群と呼ぶ。かつて「死の4重奏」と呼んで、高血圧や高血糖など循環器のリスクとなる項目が4つ重なると死亡リスクが非常に高くなるといわれていたが、メタボリック症候群の考え方はそれを一歩進めたものといえる。

しかし、今回報告書としてまとめられたものは、その測定を40歳以上に限っている。おそらく検査の手間などを考えてのことかと思われるが、せっかくの意義を半減させてしまう恐れがあると思われる。(全員になんかやってられないよ!ってことなのか)

女性の場合、肥満のメカニズムが男性とは異なること、太りたくないという意識が男性よりも強いことなどから、あまり問題にはならない。しかし男性は社会にでたとたんに太りだす人が多く、40歳くらいまでに10kgから多い人では一気に20kgくらい体重が増えてしまうこともある。しかも内臓脂肪がつきやすく、たとえ体重増加はそれほどなくても、お腹だけが突き出してしまう人も多い。循環器系疾患の危険性は年齢とともに、あるいは体重増加に伴って確実に大きくなっていく。

私個人の意見ではあるが、腹囲の測定は全員行なうべきだと思う。もし手間を省きたいということが厚労省の委員にあるのであれば、女性の測定をやめて、男性のみに限った検査にしても構わない。もちろん血液検査も必須だ。とくにメタボリック症候群に関連する項目は、体重増加と連動して数値が上昇する傾向が強い。(HDLコレステロールの総コレステロールに対する割合は逆に減少する傾向)若いときから体重測定、腹囲測定、そして血液検査を定期的に実施し、その結果を本人も理解したうえで、5年、10年先を見通して健康を管理することが求められる。太らないという意識を維持していくためにも具体的な数値が必要だ。

折あるごとに話をしていることであるが、体重を増やさないこと、あるいはすでに太ってしまった人は減量することが最大の健康法であることは間違いない。摂取カロリーを低くするだけで減量するのも悪くはないが、これに運動が加われば言うことはない。

食べ過ぎないこと。
そして、とにかく歩くこと、ひたすら歩く、これが健康の秘訣!メタボリックの予防だ。